赤い毒キノコも太陽光育ち
謝れるかもアネモネの中でなら
水温むまっすぐ栞紐垂れる
蝶の昼さりさりさりと砂時計
春日傘からふかふかの耳朶が
春光の中に鏡が一つ足りない
春雨に拳を握る爪立てて
空想しずか 冬薔薇開きゆくように
雪の原血液型を教えあう
天体の浮かぶみちのく芝桜
噛み合わせこれでいいのか雪の原
冬菫怒ってくれる人が好き
雪が降る 楷書のように
ペン先が太くて雪が降りやまぬ
繰り返し読む本がある冬菫
腹痛の朝一本の冬の虹
雪時雨キリンの睫毛考える
三人でチューバを探す秋の夢
盆の月烏の口の半開き
八月の鉄管の水砕けゆく
祖父の介護は秋風がする
紫陽花と名付けるために犬を飼う
まだ寝たくないから 椅子に本を置く
本たちの夢溶けている秋の雨
猫背なら動かせるかも秋の虹
腹痛に呼吸を合わす秋の虹
鯉が口開けて外反母趾と言う
真っ直ぐな線がかけない神無月
おむすびのラップどこから青葉風
友達が子どもを産んだ天の川
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